2011年5月21日土曜日

消費増税なら毎年1%ずつ上げるしかない

消費税の増税は、もう避けられない。
景気回復で増収を確保する考えは、希望的観測でしかない。「原発は安全だ」というのと同じだ。
今でも、毎年必要な金が不足していて、借金で補っている。
金利は安いが、サラ金に金を借りて生活しているようなモノだ。



消費増税への心配は、事実上物価が上がるので、消費にブレーキがかかることにある。
事実、消費税が3%から5%に引き上げられた後、景気が低迷したことを、多くの人が覚えている。
ところが、家電エコポイントで分かったことがある。値上げが分かっていれば、その直前に買い急ぐということを。



家電エコポイントでは、2010年11月に制度が改定され、要はポイントが大幅削減された。
その結果、改定直前に莫大な駆け込み需要を生んだ。



日常必要なものは、高くても買わざるを得ないが、耐久消費財は駆け込みによって、需要を先食いしてしまう。
これが、増税後の景気悪化を招く要因だと考えられる。



であるなら、毎年1%ずつ増税していけばよい。
「1%程度なら」と甘く見る人なら急いで買わないだろうし、「それは大変」と焦っても毎年上がっていけば買い換え時期にはもっと増税されている。きっと、5年以上は続くだろうから。
 一気に増税したら、また同じ轍を踏む。



何年続けるのか、消費税は増税するのに法人税は減税して理解が得られるのか、ホントは議論すべきことは、こっちなのだけれど。

停電でも固定電話は使えるのだが...

戦争や戦争直後を知らない世代ではありますが、無計画停電(輪番停電)を経験しました。
携帯電話は便利ですが、実は、家庭の固定電話は停電していても使えることを知っていますか?



昔ながらの導線で、家庭と電話局(今は、NTT東西の支店といいますけれど)とが結ばれている場合、電話局側から電力が供給されます。思い出して下さい。昔の黒電話やベージュのプッシュホンは、電源用の線はなく、電話線だけでしたよね。

最近の電話機は、ファクスも兼用しているなど、多機能化が進み、電話局からの電力では不十分なので、電話機自身もコンセントから電力を受けます。停電時のことを考えている機種は、コンセントを抜いても、通話機能だけは維持されています。もちろん、コードレス子機は使えません。

我が家は今の電話を買うとき、この点を重視して商品選定をしたので、停電時も通話を確保することができました。(電話しませんでしたけれど)



家庭での電源を必要とするIP電話はまったく使えないことを、忘れないようにしないと行けません。
特に、光ファイバーは、まったく使えなくなります。
最悪なのは、自宅では導線なのだけれど、マンションと電話局が光ファイバーなケース。大きなビルの場合、大きな電池(無停電電源=UPS)や自家発電で、通信などのインフラへの電力供給を確保していますが、マンションレベルだと、そのような手配はなされていないでしょう。停電=通信途絶となってしまいます。



阪神大震災で、普及前の携帯電話が活躍しましたが、今は携帯電話を持っているだけではなく、予備電池の確保と、メールの使い方の学習は、お年寄りでも最低限のインフラとなりそうです。

電力・電話・郵便事業のあり方とは~ユニバーサルサービスを考える

東日本大震災を機に発生した東京電力福島第一原子力発電所の事故を機に、電力会社や原子力行政の見直しが議論されています。原子力発電だけでなく、発電と送電の分離にまで、議論が拡大し、電気事業全般をゼロから議論するようになりました。のど元過ぎれば熱さ忘れてしまわぬよう、この際、ユニバーサルサービスの必要性とその負担方法についても、議論が深まればいいと考えています。



ユニバーサルサービスとは、生活に不可欠とされ、どんな離島や山間部でも必ず提供されるサービスのことで、主に電力、電話、郵便の三つが挙げられます。

電力は全国にある10社が、大口契約を除き、地域内の供給義務を負う代わりに、事業を独占することで、ユニバーサルサービスを確保しています。電気事業法で利益と独占が保証されているオイシイ業態です。

一方、電話の自由化は進み、電話番号ごとに毎月約7円をNTT東西に支払っています。このお金は、過疎地の電話線の維持に充てられています。離島や山間部での通信事業は、とても割に合いませんが、そこにいる人とつながることを、そこにいない人にも提供するから、都市部の人も費用を負担しているわけですね。

さらに、郵便。
もう無人化されてしまいましたが、富士山頂の測候所。真冬であっても、郵便が届けられていました。毎日ではなさそうでしたけれども。電話同様、どこにいる人にでも届くことに意味があるわけです。



都市と離島や山間部では、事業収益に差が出るのは当然で、田舎は赤字になるでしょう。でも、電話は赤字額を7円という形で補い、電力や郵便は独占によって、赤字に目をつむってもらっている状況です。

でも、今の形態が良いのでしょうか?



答えは簡単ではないけれど、その一つが発電と送電の分離(発送分離ということもあります)。
電力事業では、大口契約の自由化がなされましたが、多くは、海岸部のガス発電所から安い電力を買って、東京電力などの送電線を使って届けてもらいます。送電線利用料が高いというのが、批判の対象になっているわけです。
だから、新規参入事業者と同じように、発電部門と送電部門が分離すれば、同じ土俵で争えるというわけです。
風力とか太陽光という発電源と、それぞれの値段を見ながら、家庭で、どの発電事業者から電気を買うのかを契約していくことになります。発電源に市場原理が持ち込めるわけですが、消費者の環境哲学も問われることになります。
念のために言っておくと、送電部門への新規事業参入は、容易ではありません。特に変電所から、各家庭への送電線を、色々な企業が引いたとしても、これまであった送電線と重複してしまい、全体としての稼働率が下がってしまうので、費用対効果が上がらない、つまり、儲からないからです。だから、送電網は共用することで、社会全体として安く上がると、考えられています。



電話も、NTT東西の支店(電話局)までは、NTT、KDDI、ソフトバンクなどの基幹通信網は届いていますが、そこから私たちの家庭までが、事実上、NTTに独占されているわけです。これも、費用対効果が上がらないので、各家庭からNTT東西の支店(電話局)までは共用しているわけです。

しかし、基幹線通信網で競争しているNTT東西が、家庭までの線を他社に公平に貸し出すことができるのか、という、そもそも論は以前から根強くあります。NTTの企業形態について、いつまでも議論が続いているのは、このためと言えます。

電話局から家庭までの回線のことを、last one mileといい、電力も通信もこれが問題になるのです。



郵便も同様です。
郵便局網を利用すれば、全国で新商品を展開することが可能になります。郵貯のATM網をもっと生かせば、新規参入金融機関が全国どこでもATMサービスを提供できます。セブン銀行顔負けです。
郵便のlast one mile問題が、郵政事業の一体運営論議になってしまっていて、公共財としての全国網と、競争部分である金融や郵便を合併して、NTTのような形態になれ、という話に見えます。



いずれの問題も、公共財としてのlast one mileと競争分野を、どのように両立させるのかが主題といえます。その結果が見えてくれば、電力、電話、郵便も、同じような事業スタイルに落ち着くことになるはずですが、今はまったく異なる形態を取っています。一般家庭では、地域電力会社からしか買えないのですから、電力事業が、3業種の中では最も強く守られていると言えます。