福島第一原発相当の事故が発生した場合を想定した放射能飛散について24日、原子力規制委員会が予測を公表した(朝日新聞)。その後、29日に予測の誤りも発表されている(朝日新聞)。被害が新たに予測される地域からは、原発稼働の拒否権を握ることになる「安全協定」を求める声が上がっている。
電力会社は、原発の建っている都道府県と近隣市町村との間で、原発安全協定を締結している。協定の中で自治体側は稼働の拒否権を持っている。
また、協定締結先自治体には、電力会社側からの不透明で、多額の寄付が寄せられていることも、これまでに明らかになってきた。
原発稼働を、電力会社が金で買っている、という見方をされても仕方のない状況だ。
ただ、見方を変えれば、電力会社が自治体にたかられている、とも言える。
3・11後、原発近くの自治体が、身の危険を感じ、電力会社に安全協定を求める動きが広がった。電力会社側は、稼働を認めてもらうことが望ましいから、そのような拒否権は、できるだけ与えたくない。
その結果、電力会社側の動きは共通してくる。
これまでの安全協定とは異なる内容、すなわち、稼働拒否権を認めない新たなスタイルでの締結を模索している。
事業者としては、自然な動きと言える。
原発の稼働を左右されたくないし、寄付を要求されたら迷惑だ。
でも、情報を提供するくらいは、構わない。
そう考えるのは、ある意味で合理的だ。
他方、締結済み自治体からは、新たな締結への反対論が上がっている。
これまで、原発を受け入れてきた歴史を主張する向きもあるが、自分に回ってくる金が減らぬよう、防戦しているかのようだ。
原発を建てる地域に、ふるさとを捨てる覚悟を迫ったのが、3・11だった。
さて、自治体の動きやいかに。