2014年8月11日月曜日

避難告知でメディア考

 2014年の台風11号は風も雨も強かった。
 時に激しく降った雨で、河川の水位は、しばらく高いだろう。

 8月10日はスマホやケータイが、いつもと違った音で鳴った。

 何かと思ったら、自治体の避難準備情報。
 面積が広い自治体で河川がいくつかあり、避難準備情報は特定地区を対象としたものだった。(私のいた場所は、対象地区ではなかった)
 あまりこの辺の地理には詳しくないが、続報として、開設した避難所を送信してきたので、学校名などから、対象地区を認識できた。実際に避難する立場に立つと、避難先が明確になるので、この情報は有用だったろう。

 ところで、持っているスマホは法人契約なので、端末のGPSか、端末と通信する基地局の位置情報を基にして配信しているのだろうと推測する。


 警戒を呼びかける気象警報と異なり、河川増水に伴う避難情報は、危険地域が限定されるので、告知対象も細分化されることになる。

 今までの伝え方は、防災無線くらいしか実用的でなかった。
 これほどの大雨では、広報車を走らせてスピーカーから伝えても、届きにくい。
 各家庭に防災無線を配布するのは、都市部では費用面から容易ではない。
 山間部を抱える地域も、広範囲に伝える手段を確保するのが難しい。
 都市でも田舎でも、さらに旅先でも伝わってくることから、携帯端末というのは、価値のあるメディアであることを示したといえる。

 この種の情報は、今すぐ伝わらなければ意味がない。

 新聞向きの情報ではない。
 WEBなどのネットは、情報を取りにいかないと得られない性質が強く、今すぐ送りつける機能を使いこなすのは、まだまだ難しい。旅先では、設定変更を必要とするから、同じデジタル・デバイスでも、子どもからお年寄りまで、と考えると劣勢だ。

 そうしたなか、実はケーブルテレビや地上波デジタルテレビ放送は、もう少し使いこなしても良さそうだ。

 設置時に郵便番号を入力するし、送りつけるという機能は、テレビの得意とするところだ。
 通常は1番組を放送する電波は、画質を落とすことで3番組を同時放送できる。データ放送もある。

 だが、今回はそれらのデジタルテレビとしての機能を、伝える側が使いこなせていただろうか。


 アナログ時代と同じように、画面の輪郭に交通情報などを流しているが、放送の3分割は見かけなかったし、データ放送との使い分けも、よく分からなかった。

 その結果、画面にいくつもの字幕が並び、重要度や緊急性が整理されず、情報を伝えるので必死という状況を伝えてしまっているように感じた。

 デジタル放送は、4Kとか8Kなどの画質への関心が先行する。

 だが、現行の枠組みでできる災害報道の可能性が、まだまだあるように思えた。次世代テレビ放送規格を作るうえで、災害報道が、もっと考慮されていい。