東京電力、東北電力管内で7~9月、電力需給が逼迫するのを前に、企業などが節電策を次々と発表しています。その中に、在宅勤務の採用が上げられていました。これは、節電逃れの違法あるいは脱法行為といえるだけでなく、電力需給をより悪化させる恐れがあります。
東日本大震災やそれによる津波で、沿岸の火力発電所が被災したり、東京電力福島第一原子力発電所事故の影響で、点検中の原子力発電を再稼働できな事態が続いていて、2011年の夏場は、全国的に電力消費を賄うだけの発電が難しくなりそうな状況です。
特に、津波の直撃を受けた東北電力や、爆発を繰り返した原発を多数抱える東京電力では、昨年夏の消費量をまったく賄えず、国が大口の電力需要企業に対して、電気事業法に基づく罰則付きの電力制限令を発動する方針です。(asahi.com)
これを受けて大企業を中心に、節電策を検討・発表していますが、中でも事態を悪化させる恐れがあるのが在宅勤務です。
インターネットの大容量化に伴い、自宅にいながら会社のオフィスと同じコンピューター環境を実現することができるようになり、在宅勤務の可能性が広がりました。
しかしこれは、オフィスで使っていた電力を、自宅に持ち込んだに過ぎません。
しかも、その消費電力量は個人にカウントされ、企業には計上されず、本来果たすべき節電15%を、従業員にツケとして回しているに過ぎません。
しかも、去年のような猛暑なら、自宅でもある程度冷房を使わなければ、健康に害があるでしょう。
各家庭で、昨年以上にエアコンが稼働することになります。
企業のオフィスで、まとまってPCやエアコンを使えば、スケールメリットがあって、より消費電力が少なくて済むはずです。
電力制限令が適用されるのは、大口の需要家だけで、個人や中小企業などは、去年よりも沢山電力を使っても、おとがめはありません。
在宅勤務を増やせば、大口需要家は見かけの消費電力量を減らせますが、社会全体としては、電力を沢山使うことになり、事態をより深刻化させ、真夏の大停電を招く恐れがあります。
この結末を、夏に確認することになるのでしょうか。
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