その取り崩しが生じるのは、使いきれない「かも」という時で、有効期限と直接関係ない。「かも」って言う程度なのにほぼ全額を取り崩すが、それはやり過ぎなので、取り崩したのとほぼ同額が翌年復活する。これも、前回指摘した。
では、企業の納税でなすべき対処は、どのようなことか。
業容が拡大し続けているなら、繰延税金資産の処理に対処する必要性が、ない。
毎年の納税額も増えるから、有効期限内に繰延税金資産を使いきることができるだろう。
事業が拡大していない、あるいは縮小している場合、繰延税金資産の期限切れが起こりうる。
当該決算期で、繰延税金資産を有効期限内に使い切れないことを、課税所得の赤字という。
一定の期限切れを覚悟して、事業の見直しを図る経営もある。
しかし、払わずに済むなら、むやみに税金その方が合理的だ。
その姿勢を具体化すると、課税所得を赤字にしない決算を作ることになる。
事業が拡大していないのだから、課税所得の黒字を大きくするのは、賢くない。
必要な投資をしない、人材確保を怠る、という間違いを招きかねないからだ。
そうなると、課税所得は白字(赤字と黒字の、丁度中間)が理想的だ。
しかし現実的ではないので、ぎりぎり黒字を狙う決算を作ることになる。
ここで「決算を作る」と言った。
決算は、自動的に決まるものてはない。
一定のルールの下、ある程度の裁量がある。
その知恵が、会計の専門家、財務部門の力量と言える。
課税所得がぎりぎり黒字の決算とは、狙いが成功したということだ。
課税所得に一喜一憂するのは、財務部門の力量を議論しているのと同じだ。
本筋は、あくまで業績改善策、すなわち成長戦略だ。
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