2012年1月23日月曜日

不確定性原理に新展開~ハイゼンベルグの不等式を拡張~

物理原理の一つである不確定性原理。それを記述するハイゼンベルグ(Heisenberg)の不等式では説明のつかない現象を、ウィーン工科大の実験グループが確認しました。実験結果は、名古屋大学の小澤正直教授の提唱する不等式(小澤の不等式)に合致しているそうです。(asahi.com

ここまで読んで、アレルギー反応を抱き、悶絶してしまう人がほとんどですよね。
前提知識を把握してからでないと、内容に踏み込めないからです。



まず、不確定性原理の位置づけ。
原子や分子といった微小な世界は、高校で習うようなニュートンの力学では説明がつかない。そのような世界を理解するための学問が、量子力学。その分野の基本原理の一つが、不確定性原理です。

では、不確定性原理とは何か。
私たちの体に光が当たっても、その威力で転んだりしません。でも、微小な世界で光にぶつかると、もの(原子や電子)が動いてしまうのです。

私たちがものを見るとき、ものに当たった光が目の中に入ることで「見えた」と思います。
原子や電子が見えるわけではないけれど、もし、そのような小さなものの位置を知りたいと思って光を当てても、当たった瞬間に動いてしまうからです。
だから、ある瞬間、それがどこにあるのかを正確に知ることはできません。
ある程度の「不確定性」を、常に持ち続けることになるのです。これが不確定性原理です。

それを、定量的に表したのがハイゼンベルグの不等式。 二つの値(上の例では、位置と運動量)を詳しく知ろうと思っても限界値がある、と記述しています。(厳密には正確な説明ではないが、ま、そゆこと)

ここまでが、最低限の前提知識。



で、今回分かったことは、ハイゼンベルグさんが「ある程度不確定性が残ってしまう」と言っていたことについては「確定できた」けれど、別の要素が出てきて、そっちを合わせた全体では、やっぱり「不確定なんだ」ということですね。



で、それって、どれくらい、すごいの?ということが知りたいですよね。

ハイゼンベルグの不等式を、小澤さんが拡張したということになるわけですが、似たようなことをしたのが、アインシュタイン。ニュートンの力学を拡張したわけだから。

小澤の不等式が、ハイゼンベルグを超えて一般的に成り立つかは、今後も検証が続くことになるでしょう。でも、検証に終わりなんてないんです。
だって、今でもアインシュタインの相対論の限界がないか、世界中で実験がなされているのだから。



この種の研究は、より精度を高めても成り立つか、ずーっと続きます。限界が現れたらまた、考えたり、先に理論が出てきたり。
何かの役に立てることが目的ではなくて、知的好奇心で探求する分野です。

最近は、量子力学を応用してた「量子暗号」の実用化が進んでいます。しかし、ハイゼンベルグの時代、そのようなことを考えて研究していた人など、いないでしょう。
今回も100年くらい経てば、応用の動きも出るのでしょうが。

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