特定秘密法案が参院で可決、成立しました。
特定秘密法には、賛成できません。
国の情報の所有者は、国民です。
例外的に、秘密を認める場合、例外なので、範囲を限定する必要があります。
そうしなければ、あらゆることを例外扱いし、すべてを秘密指定できるからです。
憲法、条約、法律は書かれていることがすべてであって、書かれていないことは、何でもできるというのが、歴史が教えるところです。
すなわち、今回の特定秘密法は、何が秘密であるかが秘密だから、容疑を明かすことなく逮捕でき、公開の裁判で起訴事実を明かすことなく、懲役10年に処すことを可能にするのです。
そのようなことはない、という閣僚の説明には、法的根拠がありません。
なぜなら、法律に書かれていないからです。
たとえ、税金で公務員が宴会を開催して、それを秘密指定すれば、税金宴会を告発することはできないし、告発した人を逮捕、懲役10年にできるのです。
税金宴会は秘密対象ではない、と誰もが思うでしょう。
本当にそうでしょうか。
テロリストをおびき寄せるための工作の一環とすれば、秘密対象になる可能性があります。
例え秘密指定されたとしても、一定期間後に公開対象としておけば、自動的に不正は明らかになります。
しかし、この法律では、秘密の延長を繰り返すことができ、半永久的に延長できてしまうのです。
つまり、現代の治安維持法と言えます。
他にもいくつもの問題点があります。
しかし、いつでも、どこでも、誰でも、理由が分からぬまま逮捕され、懲役10年なり得るだけで、反対理由としては十分です。
懲役10年で自由権、つまり被告の基本的人権を停止するには、徹底的に厳格な法体系が必要だと信じるからです。
法律家は、憲法違反だとして裁判を始め、最高裁まで続くでしょう。
その時、最高裁がどのような判断を示すのか、関心を持ち続けたいと思います。
もちろん、今後の国政選挙の度に、今回の法案審議で、個々の政治家がどのような動きをしたかを、忘れずにいたいと思います。
一部野党は、党内事情で賛成に転じるなど、自分たちの都合を、この法案審議に持ち込んだような動きを見せたことも、忘れません。
近年、一部東南アジアの国では、裁判所の判断で国のトップが職を解かれるなど、政治が機能していないことを、世界にさらしました。今回の騒動は、日本の民主主義の進展度が、それらの国と同レベルだと示しています。
議論によって、社会に必要な法律を作るのが政治の機能だとすれば、日本では、それが失われていることを、世界に示しました。そのうえ法律の内容が、先進国として恥ずべきものになっている、と自覚が持てないほど、日本は劣化してしまっているようです。
日本の政治や民主主義の水準の低さを、世界に見せつけたことが、この法案成立の意義と言えるのかも知れません。
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